風俗営業の場所の制限
風俗営業の場所の制限
風俗営業の許可申請を行う営業所の場所が都道府県の条例で定める地域内にあるときは許可を受けられません。
風営法第4条第2項
公安委員会は、前条第一項の許可の申請に係る営業所につき次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、許可をしてはならない。
一 (省略)
二 営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき。
上記でいうところの条例は一般的に「風営法施行条例」と呼ばれています。
この条例の中で営業所の設置制限に関する規定があります。その内容は都道府県ごとに異なるため、それぞれの都道府県の風営法施行条例を確認する必要があります。
以下は神奈川県の事例を紹介します(神奈川県警HPより)。
○住居専用地域・住居地域 (準住居地域を含む。) に営業所を設置することは原則として制限されています。
《制限が除外される地域》
○保全対象施設として指定された施設の周辺に営業所を設置することは制限されています。
保全対象施設(建設予定地を含む。) | 制限距離 |
---|---|
学校 (大学を除く。) | 100メートル |
大学、図書館、児童福祉施設並びに病院及び診療所 (患者を入院させるための施設を有するもの。) |
70メートル (営業所が商業地域に所在するときは、30メートル) |
用途地域による制限
建築基準法の用途地域による制限です。用途地域は管轄する市区町村のWEBサイト、又は建築指導課等で確認することができます。
建築基準法の用途制限と、風営法施行条例の制限の両方を順守する必要があります。
近隣商業地域で風俗1号営業を許可申請しようとする場合は、複雑な問題があるのでご注意ください。
保全対象施設とは
保全対象施設施設から規定の距離内にある営業所では、風俗営業が許可されません。この場合の保全対象施設とは、都道府県の風営法施行条例の規制のなかで保全対象施設として定められている施設のことです。
よくある事例としては、学校、病院、診療所、児童福祉施設、図書館などですが、都道府県によって様々です。
保全対象施設の用に供するものと決定した土地
重大な注意点として、<保全対象施設の用に供するものと決定した土地>も保全対象施設とみなす規定がある、ということをご理解ください。つまり、まだ学校が存在していない土地であっても、将来そこに学校が開校されることが決まっていれば、そこは学校の敷地、つまり保全対象施設とみなされるのです。よって、保全対象施設の調査あたっては、調査時点で現存している施設だけでなく、将来設置される予定についても確認する必要が生じることがあります。
営業所の周囲の略図
風俗営業許可申請においては、営業所所在地の用途地域や保全地域施設との関係性を示し、当該営業所が許可を受けられる場所に所在していることを示す図面を提出します。これを「営業所の周囲の略図」と言います。これを作成するためには営業所の用途地域や周辺の保全対象施設の有無等について調査する必要があります。専門的な知識のない人がこれを作成することが難しい場合が多いです。
開業後に保全対象施設が出現した場合
風俗営業許可を取得した後で、営業所の近くに保全対象施設が設置されることがあります。この場合は、風俗営業の継続は可能ですが、公安委員会がその保全対象施設の存在に気がついた場合には、「許可の条件」を付与する行政処分を行うことがあります。
「許可の条件」は営業所の拡張を制限する内容になり、それに反する行為を行うと許可条件違反という風営法違反行為として処罰の対象となります。
どのような場合にそうなるかは微妙な問題をはらむので、気になる場合は弊社にお尋ねください。