風営法ガイドブック

風営法の規制を受ける業界の法令ガイドブック

風営法ひとすじ20年 のぞみ合同事務所風営法担当 ℡042-701-3010 へ

飲食店営業が風営法の規制を受ける場合

飲食店営業の規制 

ここでは、夜10時以降に営業する飲食店営業風営法の規制を受ける場合について解説します。

飲食店営業は設備を設けて客に飲食を提供する営業です。

茶店やレストランのように有料で飲み物や食べ物を客に提供するお店のことです。

飲食店営業を開始する前に食品衛生法の営業許可(保健所の)を取得しなければなりません。

さて、飲食店営業の許可を取得したとしましょう。

あなたがこれから行おうとする営業が以下に該当する場合は、さらに風営法の営業規制と手続きの義務が追加されます。

 

  1. 深夜(0時から6時)までの時間帯に客に酒類を提供する場合 → 深夜酒類提供飲食店営業
  2. 客に接待を行う場合 → 風俗営業第1号 キャバレー・社交飲食店・料理店等
  3. 深夜に酒類を提供し、さらに客に遊興させる場合 → 特定遊興飲食店営業

 

しかし、カフェやレストラン、ラーメン屋など、上記の項目に該当していない一般的な飲食店であっても、保健所だけでなく、公安委員会、つまり警察の監督下にあります。

法令に違反し、風俗環境を害するおそれのある飲食店に対しては、警察(都道府県公安委員会)が必要な指示や処分をできる規定が風営法に盛り込まれています。

全ての飲食店営業にとって風営法(警察)は無関係ではないのです。

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飲食店営業に対する規制等

風営法は、夜10時以降に営業する飲食店に対して規制をかけています。

大手居酒屋チェーンが客引き容疑で摘発された事例もありますので、夜間(夜10時以降の時間帯)に営業する飲食店営業者は風営法の規制をよく理解しておきましょう。

 

風営法では飲食店について次の行為が禁止されます。

①夜10以降の時間帯に客引き又は客引きを目的として、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと

全ての飲食店は、夜10時から午前6時までの時間帯における客引きと、客引きを目的とした立ちふさがりやつきまといが禁止されています。

酒類を提供する飲食店が午後10時以降に18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること

ただし、飲食店であっても、次のいずれかの営業の場合には風営法の規制の対象となりません。

  • 営業の状態として通常主食と認められる食事を提供する営業
  • コーヒー、紅茶、ジュース等の飲みものやケーキ、パフェ、アイスクリーム、おしるこ等の菓子類」以外の飲食物(フライドチキン、サラダ、たこ焼き等)を提供する営業で、午後10時以降に酒類を提供しない営業
  • 保護者同伴の場合

解説

通常の喫茶店では、夜10時以降に18歳未満の客を入れてはいけないのです。牛丼屋主食を提供しているので対象外。お好み焼ピザなどを提供する店も主食なので同様です。ドーナツアイスクリームを提供する店は規制の対象です。屋台等の場合、立食をさせるだけなら規制対象外ですが、またはいすを設ける場合は規制の対象となります。仕出し弁当屋は客に店舗で飲食をさせないので対象外です。居酒屋酒類を提供するので規制対象ですが、あまり守られていないようです。これらの線引きはあいまいでますが、風俗営業店以外でも18歳未満の立入規制があるのです。この規定が実際にあまり使用されていないために問題となっていないようです。しかし青少年がらみの事件やトラブルに伊勢が関係すれば、この規定が発動されるおそれがないとは言えませんので、飲食店経営者としては知っておいていただきたいです。

なお、青少年の深夜の外出等については都道府県が定める条例によって規制されていることが多いので、各地域の条例についても注意が必要です。神奈川県青少年保護育成条例では、次のようになっています。

(深夜営業を行う施設への立入りの制限等)
第5条の2 次に掲げる施設を経営する者及びその代理人、使用人その他の従業者は、深夜においては、当該営業の施設に青少年を立ち入らせてはならない。
(1) 個室を設けて当該個室において客に専用装置による伴奏音楽に合わせて歌唱を行わせる施設
(2) 設備を設けて客に主に図書類を閲覧させ、若しくは観覧させ、又は客にインターネットの利用により情報を閲覧させる施設(図書館法(昭和25年法律第118号)第2条第1項に規定する図書館を除く。)
2 前項各号に掲げる施設を経営する者は、深夜に当該施設において営業を営む場合は、当該施設の
入口等の見やすい箇所に、深夜における青少年の立入りを禁止する旨を表示しなければならない。

 ③営業所で未成年者に酒類又はたばこを提供すること

未成年者飲酒禁止法では、未成年者が酒を飲んでしまうことを知っていて酒を提供することが禁止されています。風営法では、未成年者が飲むかどうかに関わりなく、未成年者に酒を渡すことが禁止されています。

対象はすべての飲食店です。レストランがくじ引きの景品としてワインを提供したとき、飲食店許可を持つコンビニが缶ビールを販売したとき、相手が未成年者であれば風営法違反容疑で処罰される可能性があります。

未成年者飲酒禁止法は平成12年に罰則が上げられましたが罰則の最高限度は罰金50万円です。風営法では、同じ行為について1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。

風営法では年少者に関わる違反について厳しい処罰を想定しています。営業停止の場合の処分基準においては営業停止などの重い処分が相当とされています。

 ④深夜(午前0時から午前6時まで)営業の飲食店で下記の構造設備基準を満たしていない場合

深夜に営業する飲食店は、酒類提供の有無にかかわりなく、つまり普通のレストランやファーストフード、カラオケボックス、カフェであっても、客室の床面積が9.5㎡以下である場合や、客室内部に高さ100㎝以上のつい立て等が設置されているときは、構造設備維持義務違反という風営法違反となります。

一 客室の床面積は、一室の床面積を九・五平方メートル以上とすること。ただし、客室の数が一室のみである場合は、この限りでない。

二 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。

三 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備(第百二条に規定する営業に係る営業所にあつては、少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を含む。)を設けないこと。

四 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。

五 次条に定めるところにより計つた営業所内の照度が二十ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。

六 第三十二条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第三十二条第二項において準用する法第十五条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。

 

飲食店営業と風営法の関係についてはここまでです。