風営法ガイドブック

風営法の規制を受ける業界の法令ガイドブック

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風俗営業者や風俗店の法令違反に対する指示、営業停止、許可取消しなどの行政処分

 

風俗営業者に対する行政処分と刑事処分

風俗営業者に風俗営業の許可を与えるのは都道府県公安委員会です。都道府県公安委員会風俗営業に対し、風営法にもとづいて、指示営業停止許可取り消し、などの処分を行うことができます。これを一般的に「行政処分」と呼んでいます。

一方で、公安委員会犯罪行為に対し刑罰を科すため、刑事訴訟法にもとづいて司法警察機関として犯罪捜査を行う場合もあります。この場合は、書類送検起訴刑事罰という流れになりますが、刑事罰刑事処分とも言います。行政処分刑事処分は同時に進行することがあります。

例えば、遊技機の無承認変更の場合、行政処分として風営法26条にもとづく6か月の営業停止処分、そして刑事処分としては変更を行った店長に対し罰金刑、といった具合です。

 

指示

風営法第二十五条 公安委員会は、風俗営業者又はその代理人等が、当該営業に関し、法令又はこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該風俗営業者に対し、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要な指示をすることができる。

都道府県公安委員会は、法令違反を行った風俗営業に対し必要な指示を行うことができます。風俗営業業務上の違反行為自主的に是正させることで適正営業に導くためです。

指示は、違反状態の解消のための措置違反防止のための措置等を具体的に示して行われます。

例えば、店内に著しく射幸心をそそるおそれのある行為が行われていることを表す<のぼり>を立てていたという場合には「速やかに当該のぼりを撤去すること。」といった指示内容となります。

客室内の見通しを妨げる設備を設置していた場合には「客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと、その他営業所の構造及び設備の技術上の基準を遵守すること。」のような指示内容が想定されますが、再度の違反を防止するための措置や、改善後の報告を求めるような内容になることもあります。

 

指示処分のデメリット

公安委員会から指示を受けた場合には次のようなデメリットがあります。
まず、風俗営業者が指示を受けてから3年以内に同種の違反行為を行った場合には、営業停止処分の際に比較的重い処分を課せられる可能性がありますし、一度指示を受けた風俗営業者は、全店舗についてその後10年間にわたって特例風俗営業者の認定を受けられなくなってしまいます。

すでに特例風俗営業の認定を受けている場合には、指示を受けたことによってその認定を取り消されることになりますので、近く予定している店舗リニューアルを構造変更承認申請でなく変更届出で済まそうとしていた場合には、リニューアル計画に狂いが出るなどのダメージが想定されます。

 たかが指示されるだけの処分とは言え、処分を受けないよう注意するに越したことはありませんし、指示を飛び越して営業停止処分を受ける恐れがない訳ではありません。

指示処分違反

指示処分を受けた後速やかな改善が行われなかった場合には、指示処分違反として重い処分を受ける恐れがあります。
たとえば、広告宣伝規制に関する指示処分に違反した場合の営業停止処分は、40日以上6月以下、基準期間3月(量定B)の営業停止等命令が想定されますが、その指示のとおりに違反部分を改善していれば、それ以上の問題にはなりません。

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風営法26条による許可の取消し

原則として、最初の違反行為に対しては行政指導指示により対処することとし、行政指導や指示によっても自主的な健全化が期待できない場合や、悪質な違反行為があった場合については、営業停止許可取り消し刑事罰など、より重い処分を課すこととなっています。

風営法第二十六条 
公安委員会は、風俗営業者若しくはその代理人等が当該営業に関し法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき、又は風俗営業者がこの法律に基づく処分若しくは第三条第二項の規定に基づき付された条件に違反したときは、当該風俗営業に対し、当該風俗営業の許可取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて当該風俗営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる

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行政処分の量定

公安委員会風俗営業に対し風営法26条にもとづく法令違反処分を行う際に、どの程度の期間の営業停止処分にするか、といったことを判定する目安があります。

警察庁がAからHまでの違反の種類を分類してランク付けしたものです。

詳しくは下記リンク先のブログをご覧ください。

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弁明通知書

風俗営業公安委員会から指示をされるとき、その前の段階で弁明通知書を交付されます。

これは公安委員会風俗営業に対して不利益処分を行おうとするとき、行政手続法の規定にもとづいて、弁明の機会を与えなければならないからです。

あなたは何日までの間に弁明することができますよ。

と通知した書面が弁明通知書です。

弁明とは、指示という行政処分を受けることに対する反論ですから、指示に対して不服がない場合は弁明しなくてよいのです。つまり、弁明しない場合は、何もしないで放置すればよいです。

ただし。。。弁明通知書がどういうわけか始末書の代わりとして利用されているケースがありますのでご注意を。

行政手続法

 

(弁明の機会の付与の方式)
第二十九条 弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出してするものとする。
2 弁明をするときは、証拠書類等を提出することができる。


(弁明の機会の付与の通知の方式)
第三十条 行政庁は、弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
二 不利益処分の原因となる事実
三 弁明書の提出先及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)

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