風営法ガイドブック

風営法の規制を受ける業界の法令ガイドブック

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風俗営業者(パチンコ店)の従業者名簿の備え付けはどこまで必要?

従業者名簿関係の違反処分件数

 令和3年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について

警察庁から公表されました。
ホール業界では店舗数減少を示すデータの部分がよく紹介されていますが、行政処分件数も公表されています。
とは言え、ホール業界のために使えるような部分があるかというと、ほぼありません。なぜなら、ホール業界のための数値としては公表されていないからです。
4号営業としては麻雀パチンコその他でまとめらてしまうし、違反処分件数も業種ごとではありません。
というわけであまり役に立たないデータですが、以下の表を見てわかるのは、風俗営業全般において「従業者名簿関係の違反処分」が多いということです。
 
 
釘や買取の違反リスクなんてどうでもよいという方々でもよく気にしている「指示処分」というヤツですが、指示処分でもっとも多いのがこの「従業者名簿関係の違反」ですから、よく問い合わせがあります。

どの人の名簿が必要なのか

で。そのなかでもよくあるのが、「どの人の名簿が必要なの?」という質問です。
警察関係者の中には、なんでもかんでも名簿をつくれーという人がいます。
では。。。
  1. 大手ホールの本社から店舗に半日だけ視察に来た人。
  2. A店からB店に一日だけヘルプで入ったスタッフ。
  3. 夜間だけ店内清掃するスタッフ。
  4. 店長
  5. 社長
  6. 昼間、自動販売機にジュースを補充に来た人
  7. 来店イベントに呼ばれたタレントさん
さて、どの人の名簿が必要? 不要?
 こたえ
①は法的には不要と思う。だけど某県ではそろえろと指導されているのを間近で見て、マジか!と思ったことがある。
②必要
③不要
④必要
⑤不要
⑥不要
⑦必要
この違いがわかりますかね。

従業者名簿の備え付け義務違反の予防

なお、従業者名簿の備え付け義務違反は犯罪です。従業者名簿はいろんな意味で奥深いです。
本来は、夜10時以降の接客禁止という風営法の規定を順守させるための名簿だと思うのですが、もはや趣旨から解釈する人もあまりいなくて、書いてあることをやたら拡大解釈しとけばよいという風潮が否めません。
法令解釈として本来どうあるべきか。だけでは済まず、勘違いする人への対策も必要
だって、パチンコ店の立ち入りで住民票の不足を指摘されたという話は年に1回以上聞きますよ。そりゃ、法令のそんな細かいところまで気が付かないことだってありますから。
名簿関係の法令をセミナーできちんと解説したら、かなり時間がかかるけど、おそらくみんな眠たくなってついてこれないでしょう。
どうすることが正解か(法的な正しさとは別に)については、状況や方針によっていろいろだということです。
少なくともこういうことは言えます。
立ち入りがあったときに、「あの人の名簿はどこ?」と問われることを想定しておきましょう。
それから、法令で記入義務がある箇所を空欄にして放置するほど愚かなことはない。
さらに。
不法就労助長罪は重大犯罪なので、これだけは避けてくださいね。
つまり、外国人の場合は在留資格在留期間更新期限への備えはゼッタイ手を抜いてはならないのです。

最後に。

この人やばいかも、と思ったら身分関係書類はきっちり保全しておきましょう。

雇用者も外部委託も、風営法としては区別しない点もお忘れなく。

注意ポイントがいっぱいですね。ほかにもまだあったかな。

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